プラトンは古代ギリシア時代の哲学者です。
彼が生前執筆したと記録されている作品は、現代まですべて伝承されています。
2000年以上前に生きていた人間の書物がすべて現在まで残っているというのは奇跡。
それだけ、プラトンの哲学は歴史上様々な人に読まれ、大切にされてきたといえるでしょう。
この記事ではそんなプラトンの本を全て一覧として紹介したいと思います。
プラトンの著書はその大半を対話形式のものが占めます。
つまり、人と人との会話の中で議論が進んでいきます。
プラトンの著作はその内容、文体から「初期、中期、後期」に分けられます。
- 初期作品では「ソクラテスの弁明」、「ゴルギアス」
- 中期作品では「パイドン」、「饗宴」、「ポリティア(国家)」
- 後期作品では「法律」
あたりが有名です。
Contents
プラトン著書一覧
初期作品
ソクラテスが主人公の対話作品。ソクラテスの思想を示すものと考えられています。
「エウテュフロン」
古代ギリシアにおいて「敬神」は徳の一つと考えられていた。その「敬神」とは何かを問う作品。
「ソクラテスの弁明」
ソクラテスがアテネの神を信じていないという罪で裁判にかけられ死刑宣告を受ける。裁判の中でソクラテスが裁判員に対して語った言葉が作品になっている。「無知の知」や「ソクラテスの死生観」などが語られる代表作。
「クリトン」
ソクラテスの弁明の続編。裁判後に牢獄で死刑を待つソクラテスの元に訪れたクリトンとのやりとりを描く作品。ソクラテスは「法」と「正義」の観点から脱獄を拒否する。
「カルミデス」
ソクラテスが美少年カルミデスと「思慮節制とは何か」について対話を進める作品。
「ラケス」
アテナイを代表する将軍ニキアスとラケスを相手に「勇気とは何か」を問う作品。
「リュシス」
ソクラテスが友人を相手に「友情とは何か」を議論する作品。
「イオン」
詩人イオンを相手に「知恵とは何か」を議論する作品。
「メネクセノス」
「戦死者の追悼演説」をソクラテスが紹介する作品。当時のアテネの社会や政治の様子が描かれている。
「プロタゴラス」
有名なソフィストであるプロタゴラスを相手に「ソフィストとは何か」を問う作品。「徳は教えられるか」という問題も扱う。
「ゴルギアス」
弁論家として有名なゴルギアスと「弁論術とは何か」、ポロスと「正義と不正」、カリクレスと「人間はどのように生きるべきか」を議論する作品。
「ヒッピアス大」
ソフィストのヒッピアスを相手に「美とは何か」を問う作品。
「ヒッピアス小」
ソフィストのヒッピアスを相手に「偽りとは何か」を問う作品。
「エウテュデモス」
争論術を得意とするエウテュデモスがソクラテスを相手に詭弁を繰り出す作品。ソクラテスは「哲学の勧め」を行う。
「メノン」
メノンと共に「徳は教えられるか」という問題に向き合う作品。ソクラテスは「想起説」を用いて可能性を説明する。
中期作品
語り手はソクラテスですが、プラトン自身の思想が語られていると考えられています。プラトンの代表作が属します。
「パイドン」
ソクラテスの死刑前の最後の1日の対話を弟子のパイドンが報告する作品。弟子たちは「魂の不死」の証明を求め、ソクラテスはイデア論を語る。
「饗宴」
ソクラテスを含む6人が「愛(エロース)」について演説を繰り広げる作品。愛とは何かを突き詰め、究極の美に行き着く方法を説いている。プラトンの恋愛観が描かれている作品。
「ポリティア(国家)」
「正義とは何か」を問う作品。魂の正しさは幸福をもたらすかを問う。「魂の三分説」「哲人統治論」「詩人追放論」などが論じられる代表作。
「クラテュロス」
「言語の正しさ」を問う作品。
「パイドロス」
パイドロスを相手に「弁論術とは何か」を問う作品。弁論の主題として「愛(エロース)」についても語られる。
「パルメニデス」
ソクラテスが「一と多」をめぐる逆説を解決するために提示した「イデア論」がバルメニデスによって論破されます。新プラトン主義者たちが「一」をめぐるプラトン哲学の最高峰と位置付けた作品。
「テアイテトス」
数学者テアイテトスを相手に「知識とは何か」を問う作品。「知覚が知識である」「知識とは真なる考え(ドクサ)である」「知識はロゴスを伴う真なる考えである」という回答は退けられる。
後期作品
初期、中期作品とは明らかに文体的違う6作品。
「ソフィスト」
テアイテトスの続編。哲学者とソフィストがどう異なるかを議論する。「ある/ない」という根本問題を問う。 「政治家(ポリティコス)」 「政治家の知識」について問う作品。
「ピレボス」
快楽論を唱えるプロタルコスと「善とは何か」を問う作品。善は「快楽」とする立場と善は「知性」とする立場から議論を繰り広げる。
「ティマイオス」「クリティアス」
「理想の国家」をめぐる議論を展開するために、ティマイオスが「宇宙の生成と構成」について語る作品。
「法律」
プラトンの死前に書かれたとされる全12巻からなる最大作。ソクラテスが登場しない唯一の作品。クレタ島に建設される「マグネシア」という新しい国家の法律を論じる。
偽作の疑いがある作品
「アルキビアデス第一」
ソクラテスが政治への野心を抱くアルキビアデスに不知を自覚させようとする対話作品。19世紀以降、他の作品との関係性から偽作とされることが多い。
「クレイトフォン」
クレイトフォンがソクラテスの哲学を批判する作品。ソクラテスは論破するだけで、その後に建設的な提案がないと批判する。
「書簡集」
プラトンが友人に宛てて書いたとされるのが「書簡」。13通が残されている。特に「第7書簡」と「第8書簡」はプラトンとシチリア島の関係を考察する上で重要とされている。